TENNIS PLAY & STAY 基本指導講座

指導者が実践すべきこと

指導者は「TENNIS PLAY & STAY」を通じて子ども達を育てていくわけですが、最終ゴールをどこに設定するべきでしょうか。それは、子ども達が「自ら考えてプレーできる自立したプレーヤー」になることです。そのために、4つのことを実践しましょう。

1子どもたちに適切な問いかけを行う

適切な問いかけ

実践する1つ目は、子ども達に適切な問いかけができることです。
指導者は子ども達のプレーを観察し、適切な課題を見つけなければいけません。そして、子ども達の望むプレースタイルに導くための質問をすることで、子ども達は「気づき」を得ることができます。言い換えれば、子ども達が気づきを得るには、上手く質問で導くことが重要なのです。
適切な問いかけは、初期段階のコーチの接し方で自立型プレーヤーに導き育てることができます。子ども達には、早い段階から自分で考える力を身につけさせましょう。
一方、「○○しなさい」と押しつけるだけの方法では、子ども達は自分で考える力が育ちません。いつしか指示待ちの姿勢でプレーするようになってしまいます。先に答えを与えることは、子ども達が自ら考えようとする力を摘んでしまうのだと知ってください。
指導者は、子ども達を導くための「質問力」を身につける努力が必要です。答えをすぐに与えるのではなく、答えを引き出し、待てる指導者を目指してください。

2一方通行型から子どもたちの可能性を引き出す対話型の関係へ

2つ目は、対話型のレッスンを実践することです。技術だけを教え込むのが 指導者の役割ではありません。間違ってはいけないのは、「教えてはいけない」「口を出さない」ということではなく、「子ども達からどのように可能性を引き出し導くか?」を常に考えて接し、言葉を投げかけていきましょうということです。私達が目指す指導者と子ども達(プレーヤー)との関係は、一方通行型ではなく対話型です。指導者は、子ども達としっかりコミュニケーションをとってください。指導者と子ども達、あるいは子ども達同士がお互いに声をかけ合うことで、みんなで協力したり競争したりする場面が生まれるように心がけましょう。

指導者はコミュニケーションをとる

3子どもたちの発育・発達に応じて指導する

子ども達の発育・発達で配慮するべき点

3つ目は、子ども達の発育・発達に応じて指導することです。
なぜなら、子ども達の発育、発達はさまざまだからです。同じ年齢でも、生育環境や月齢により大きな違いがあります。グループレッスンを行う時は、全員一緒に指導する時間だけではなく、子ども達一人ひとりに応じて指導する時間も設けてください。
子ども達の発育・発達においては配慮して欲しいことがあります。
それは、子ども達には「自分で解決できること(自ら潜在的に発育・発達する領域)」と「全く自分では解決できないこと」との間に、「他者からの援助があれば解決できること」があるということです。
指導者は、子ども達の潜在的な発育・発達の領域を考慮しながら適切に働きかけ、その部分を伸ばしていくことが大切です。
また、子ども達を援助しながら自発性を促し、主体性を発揮させ発育・発達の手助けをする必要があります。

44つのキーワードの実践

刺激的な環境を創り上げる4つのキーワード

指導者が実践するべき4つ目は、子ども達にとって刺激的な環境を提供することです。
ご存知のとおり、子どもは飽きやすく、いろいろなものに興味を示します。指導者は、子どもの特性を考慮して、刺激的な環境を創り上げなければいけません。
キーワードは4つ。子ども達の気持ちに焦点を当てた「やる気」、用具に関係した「調整」と「最適なレベルの発見」、そして子ども達に自信を与える「自発的な気持ちの芽生え」です。
それでは、順に説明していきましょう。


子ども達にやる気を起こさせる

KEYWORD 1子ども達にやる気を起こさせる

1つ目の注意点は、指導者はゲームをする際に子ども達を刺激して、やる気を起こさせることです。
子ども達は、次のようなことにやる気を起こします。

●楽しく継続的な運動になっている。
●変化に富んだいろいろな状況。
●「自分が上達している」という感覚が得られる。

そして、早い時期にゲームができる練習環境を整えるために指導者は次の点に気を配ってください。

●使用するボールの種類。
●コートの大きさ。
●子ども達への関わり方。
●適度なチャレンジ精神を保つルール。
●練習中に助け合い、競い合うようなドリル。


用具やレッスン内容を子ども達に合わせて調整する

KEYWORD 2用具やレッスン内容を
子ども達に合わせて調整する

指導者は、テニスの環境を子ども達の能力や必要に応じたものへと調整する技術が求められます。
例えば、使用するボールをレッドからオレンジ、オレンジからグリーンと変化させたり、コートの長さと幅(いずれか又は両方)を変化させて、自分が守らなければいけないコートのエリアを変えてください。さらに、ルール面でゲームを単純化することも考える必要があります。


子ども達にやる気を起こさせる

KEYWORD 3最適な挑戦のレベル(環境)を見つけてあげる

3つ目の注意点は、子ども達にとって最適な挑戦のレベル(環境)を見つけてあげることです。
言い換えれば、子ども達が取り組んでいる課題が優しすぎず、また難し過ぎないことです。
最適な挑戦のレベルを調整するには、次のことを実行しましょう。

●コートのサイズを大きくする、もしくは小さくする。
●ボールを速度の速いボールや緩やかなバウンドのボールに変える。


用具やレッスン内容を子ども達に合わせて調整する

KEYWORD 4自信を与えて自発的な気持ちにさせる

いろいろなゲームの状況で、上手くプレーできた達成感は子ども達の大きな自信につながります。
ゲーム中に得た自信は、子ども達を勇気づけ、さらに「もっとテニスをしよう!」という自発的な気持ちの芽生えにつながるのです。
これが好循環となり、さらにテニスに取り組むようになり、上達を加速させます。